左利きの悩み解消!あこがれの美文字を【左】手に入れよう

「左利きだから字が下手、汚い」とはもう言わない、言わせない! 「左利きによる左利きのための」100%実践ブログ

【ペン字講座体験記⑦】「習字研究社 成人ペン」(4)

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問題です。「○○」に入る2字の熟語はなんでしょう?

 こんにちは。

「左手に美文字」研究家のサトです。

「習字研究社 成人ペン」の体験記4回目です。

 

もくじ

 

「添削」と「検定」が同時なのが嬉しい

 私が「師範」の資格をいただいた「文化ペン字学会」(代々木文化学園)では、「添削」と「検定」は全くの別物で、昇級・昇段のための「検定」では、別料金がかかるほか、出品する作品は、合格した場合、手元には戻ってきません。ですから、「この作品で昇級(昇段)したんだ!」という記録は残らないのです。だからこのブログでもご紹介できないんです。(その代わり、練習の段階でとても良心的な部分があるのですが、そのことについてはまたの機会に書きたいと思います)

 これに対し、「習研」では「添削」と「検定」を分けていません。出品した作品は必ず添削されて戻ってきますし、昇級・昇段した場合には、それを示すスタンプが押されてきます。「この作品で昇級(昇段)したんだ!」というのが記録として手元に残るのがいいですね。

 また、添削料と検定料(送る時の切手代を除く)と返送料はすべて年間の受講料に含まれていて、コスパの面でもありがたいシステムなのです。

 

 

「締め切り」があるから頑張れる!

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左:「習研」特製封筒  中央:「検定連絡簿」(表) 右:同(裏)

 締め切り日は地域によって異なり、たとえば私の住む北海道は毎月末まででいいことになっています。

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北海道人の締め切りは「月末」

 お手本が載っている月刊の機関紙「習研」は、締め切り日の1か月半から2か月くらい前に届くので、余裕を持って練習に取り組むことができます。

 「文化ペン字学会」は締め切りがなく、添削にしても検定にしても、いつ出すか出さないかは完全に自分に任されているので、自由度が高い反面、モチベーションを継続するのが大変です。どちらが向いているかは、人それぞれのタイプによって異なるでしょうね。

 私は現在、「文化ペン字」と「習研」の両方をやっていますが、余裕を持って両立できているのは、両者のシステムの違いによるところが大きいと思います。月末の締め切りが近づいてきたら「習研」の練習に専念し、少し時間の余裕がある時に「文化ペン字」にも手を伸ばすというようなサイクルが私のライフスタイルにピッタリ合っているのですね。

 「文化ペン字」だけやっていた時、何度か挫折しそうになったのは、「締め切り」がないため、こういったサイクルを上手に作り出せなかったことが原因ではないかと思います。ですから、「文化ペン字」は「締め切り」がなくても自ら計画を立てて着実に実行していけるタイプの方に向いている講座だということができます。「それはちょっと…」という方は、「習研」など「締め切り」のある講座を選んだ方が無難でしょう。(私のように「両方」というやり方もあります)

  

「現時点」での実力を思い知らされる

 「締め切り」がある以上、練習が順調に進もうが滞ろうが、お構いなく作品を提出しなければなりません(出さなかったら会費をドブに捨てることになります)。

 幸運にも十分な時間を練習に割けたとしても、「これで完璧」ということはあり得ませんから、「締め切り日」をにらみながら、どこかで「見切り」をつけなくてはいけません。「まだまだだな」と思いながら、「現時点」ではこれ以上ムリだし、という程度の作品を送らなければならないわけです。「達成感」というよりは、どちらかというと「無力感」ですね。「現時点」での自分の実力を突きつけられて生じる気持ちです。

 ですが、この「無力感」は、一概にマイナスのものとばかりは言えません。むしろ、「現時点」の自分の実力を過不足なく把握し、次の目標を立てるために必要なんだと思うことにしています。

 

おごらず謙虚に

 今月、「無力感」を感じつつ、送ることに決めた作品が次の4点です。

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「ひらがな」は難しい…。実力のほどがわかっちゃいます。

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「行書」です。無駄な力を抜かないとうまくいきません。

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「楷書」です。「ごまかし」がきかないから実力のほどがさらけ出されます。

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「楷書」の横書きです。硬くならないよう注意が必要です。

 合格すれば「初段」ですが、どうでしょう。ムリかな(結果は来月アップしますね)。でもこれが今の私のありのままの実力。こうして「ありのままの姿」をさらけ出して審判を待つ(ちょっと大袈裟ですが)ことを繰り返していると、「おごらず謙虚に」という姿勢が心の中に育ってくるような気もします。こんな言葉があります。

 

知識は「これほど知っている」と誇り高い。

知恵は「これ以上は知らない」と慎み深い。

 

 イギリスの詩人、ウィリアム・クーパーの言葉です。(というわけで、冒頭の「○○」の答えは「知識」と「知恵」でした。)

 「積み重ねてきたことへの自信と誇り」はとても大事なものです。それがないと、モチベーションも上がりません。でも、それだけで満足していては進歩がありません。「まだまだ知らないこと、できないことがたくさんあるという謙虚な自覚」がないといけませんね。この二つをバランスよく持っている人は魅力的です。私もそうなりたい。私は今のところ、後者ばかりが前面に出てしまっているような気がします。

 

「謙虚さ」でできた頑丈な土台の上に、「自信」がちょこんと乗っかっている

その「自信」は、ちょっとやそっとでは土台から落っこちない。

 

そんな人でありたいなと、私は思っています。

 

コーヒーブレイク~「弱きを助け強きをくじく!」

 今回紹介するのは、ジョルジュ・サンドの小説『愛の妖精』です。

 ジョルジュ・サンドと言えば、「ピアノの詩人」ショパンとの交際、社交界での男装(「ジョルジュ」も男性名)などで有名な女性ですが、小説家としてもたくさんの作品を残しています。

 『愛の妖精』は、フランスの農村を舞台にした田園小説です。ファデットという少女が主人公で、とても魅力的なキャラなのですが、ここではその恋人となるランドリー君を取り上げたいと思います。

 ランドリー君は、「気は優しくて力持ち」を絵に描いたような少年です。村人からいわれのない差別を受け、子供たちからも除(の)け者扱いされているファデットの内面の美しさに気付いた彼は、彼女を守り抜こうと決意し、いじめっ子だけでなく、無理解な大人にも立ち向かいます。まさに「弱きを助け強きをくじく」彼の姿は、同じ男性として実にあっぱれです。

 彼は自分の腕力に誇りを持ってはいますが、それを自分がたしかに信じたことにのみ使おうとします。同時に彼は、偏見にとらわれずに真実を見抜く曇りのない目と、自分よりも賢い者を敬う慎み深さを持っています。(う~ん、まさに「理想」だ)

 やがてファデットは、ランドリーを愛するがゆえに村を立ち去るのですが、二人の運命やいかに? それは読んでのお楽しみ! というわけで、今日はここまで。

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【ペン字講座体験記⑥】「習字研究社 成人ペン」(3)

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文字は○○の線で構成される


 こんにちは。

「左手に美文字」研究家のサトです。

以前ご紹介した「習字研究社 成人ペン」続編です。

 

もくじ

  

またも「値千金」の解説が!

 【ペン字講座体験記④】習字研究社 成人ペンで、「習字研究社」(以後「習研」と書きます)で受講する場合のメリット④として、「『課題解説』は値千金!」として、次の解説を引用しました。

 

「全身に力を分散させ、自然体の運筆を心掛ける」

「書線が硬くならないよう、ペン先の弾力を生かして書く」

 

 これは、特に横線(横画)に苦しむ左利きの人にとって、まさに「値千金」のアドバイスだと思います。「線がぎこちないな~」「硬いな~」と行き詰った時には、いつもこの言葉に立ち返ることにしています。

 

 そして、またしてもその「値千金」に出会うことができました。「習研」が発行する機関紙『習研10月号』から。

 

文字は一本の線で構成されている

 

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ちょっと裏側の字が映ってしまいました。でも、つながりはわかりますね。

 画数で言えば6画となる「在」という文字の解説です。6画なら6画の線同士のつながり(筆脈)を意識することが大切なことは言うまでもありませんが、「全部の画が一本の線なんだ」などと考えたことはこれまで一度もなく、とても衝撃を受けました。「習研」は実にさりげなく、「目のうろこ」を落とすようなことをやってくれます。

 振り返ってみると、「在」という字は確かにバランスが取りにくく、私はちょっと苦手意識を持っていました。そこで、今回の解説を意識して書いてみると…。 

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「一本の線」…意識しすぎても、ぎこちなくなりそうです。

少しは良くなったかな~。うん、前よりはずっと良くなった気がします!

 

音楽も○○も「一本の線」

 「一本の線」という言葉から、

 

全体としてのつながりが大事!

やり直しがきかない!

                                                       

という教訓をくみ取るなら、「音楽」はまさにそういう営みだということが言えると思います。たとえば、音楽のコンサート。ひとたび音楽が鳴りだしてしまったら、途中で「待った!」は効かないし、「もう一度やり直す」なんてもってのほか。多少のミスがあっても、最後までノンストップで突っ走るしかありません。一つ一つの音に極限まで神経を研ぎ澄ませ、音楽全体をほころびのない一つの構造物として完成させるまで集中力を持続させなければなりません。

 

 文字を書く時にも、これと同じような心構えをすべし、という教えを、私は先の「習研」の言葉から読み取りました。背筋が伸びる思いです。

 

 この教えは、文字や音楽だけに通用するものではないかもしれません。大げさなようですが、私は「人生」そのものにもあてはまるのではないかと思うのです。音楽と同じで、人生もひとたびその音を奏で始めたなら、時間を巻き戻すことができません。

 もちろん、失敗を糧にして「もう一度やり直す」ことはできます。それは大切なことです。ですが、ここで言っているのは、生まれてからこの世を去るまで一直線に伸びた時間、決して逆らうことのできない一方通行の流れの中にいて、突っ走るしかないことを意識することの重要性です。そうした意味で、人生を「一本の線」と意識することが、人生を豊かにするのではないかなと思うのです。

 

コーヒーブレイク カノン100%!

 「カノン」と言えば、何と言ってもパッヘルベルのカノン」ですよね。

 そもそも、「カノン」とは、同じ旋律を少しずつずらして奏でる曲で、「カエルの歌」なんかがそうですね。「一本の線」が少しずつずれて重なることで、思いがけない美しい響きが織りなされていくところが、カノンの魅力だと思います。

 「パッヘルベルのカノン」はあまりにも有名で、今さら紹介するまでもなさそうなものですが、面白いCDがありますので、あえて取り上げてみました。パッヘルベル」好きの方なら、ぜひ聴いていただきたい一枚です。絶対に損はしませんよ。これまで聴き飽きるほど聴いてきた私ですが、あらためて聴くと、不覚にもしみじみと涙がこみ上げてきます。

CDの帯にはこう書かれています。

 

「楽しさ百倍。これを聴けば心も体もフレッシュアップ!!」

パッヘルベルのカノンによる天然果汁の詰め合わせ」

 

 「天然果汁」?

 どういうことかと言いますと、「ヴォーカル」、「ブラス(金管)」、「弦楽四重奏」、「オーケストラ」と、さまざまな「味わい」の演奏が一枚のCDに「ギュッ」と詰め込まれているというわけです。どれもステキすぎて甲乙つけがたいですが、特に私が心惹かれるのは金管による演奏です。ブラスがこんなにも柔らかく温かく響くことに感動してしまいました。

 ああ、でも、宇宙のような広がりを感じさせるシンセサイザーもいいし、弦楽四重奏のしみじみとした演奏も泣けるしなあ。ヴォーカルも涙涙…(結婚披露宴で花嫁のお手紙の時になんか流したら号泣ですよ)。

 …というわけで、結局どれを聴いてもいいから困ってしまいます。「これを聴いたことがない人生なんて、もったいない!」そう思わせる逸品です。 

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【ペン字講座体験記⑤】「習字研究社 成人ペン」(2)

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「丁寧さ好印象」だそうです。それだけが取り柄で…。

 

 こんにちは。「左手に美文字」研究家のサトです。

 以前ご紹介した【ペン字講座体験記④】習字研究社 成人ペンその後の報告です。

 

もくじ

  

 習字研究社から検定結果が届きましたので、どきどきしながら開けてみると、「準初段」認定(!)とのお知らせでした。 やった!

 ここまでの軌跡をあらためてたどってみると…

 

汗と涙(?)の「ペン字講座体験」これまでの軌跡

55段階ペン字講座(四谷学院)

2014年8月~2016年1月

 全18回の課程を修了(「級」「段」認定はなし)

 

パイロットペン習字通信講座】 

2016年4月~2016年10月

 講座の単位期間1年で「自分には合わない」と思い、自然退会(6級でおしまい)。

 

文化ペン字講座(代々木文化学園)

2016.4 10級(入会と同時に「10級」認定となります)

2016.5  9級

2016.6  8級

2016.7  7級

2016.8  6級

2016.9  5級

2016.10  4級

2016.11 3級

2017.1 2級(ここまではトントン拍子! だったが…)

2017.2 1級(「行書」が難しく、もうやめようかと…。1年のブランク)

2018.2  初段(とにかく、しんどかったです)

2019.2  二段(続けるかどうか、また迷いが…。習字研究社入会)

2019.6  三段(左利きでもここまで来られた! 信じられない! )

2019.7   「師範免許証」取得(涙。…「四段」取得に向けて頑張るぞ!)

 

習字研究社:成人ペン

2019.2 入会

2019.4 5級(本来は「8級」からなのですが)

2019.5 4級

2019.7 3級

2019.8 2級

2019.9 1級

2019.10 準初段

 

やっぱり、努力は裏切らない!

 「習字研究社 成人ペン」では、入会の際、他教室等で取得した級・段を申請すれば、それを考慮した級・段が認定してもらえることになっています。私は、入会時点で既に「文化ペン字講座」1級を取得済みでしたが、特に申請はしないで地道に昇級に向けて頑張ろうと考えました。遠回りのようでも、初心に帰って基礎の基礎からきちんとやってみようと思ったからです。

 習字研究社では、原級「新」で始まり、初回検定で「8級」から始まることになっているようですが、最初の検定で「5級」をいただきました。以下の画像はその時のものです。

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「天性」という言葉がくすぐったい。

 「天性のものか。字形の安定感がすばらしい」というコメントが何ともくすぐったく感じられました。「他教室」での級・段を申請しなかったわけですから、習字研究社さんの方では当然、「ペン字を初めて習う人」という前提で添削したわけですね。

 こちらからは何も言わなくても、これまで培ってきたものがおのずと現れて、「天性」という形で認めていただけたのだなあと思うと、心がほっこり温かくなりました。本当に「努力は裏切らない」ですね。

 

「横画」と「右払い」は今でも苦手

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「楽」の横画が直された。

 今日戻ってきたもの。「楽」の横画が直されていますね。ただの平板な一直線になってしまっています。左利きにとって難しい横線(横画)に気を遣うあまり、特に「行書」では大切な線の柔軟性まで気が回らなかった結果です。まだまだ修行が足りません。

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「右払い」の苦手意識が出た。

 これも今日戻ってきたもの。こちらは「愈」の字の上の部分(ひとやね)の右払いが直されています。私の悪いクセなのですが、右払いの角度がどうしても浅くなりすぎてしまうのです。

 おそらくこれは、最後の払いの部分に「苦手意識」があって、浅い角度のままスッと横に流してしまおうという意識が働くためと思われます。角度を深くすると、最後の払いが不自然に「ピンッ」とはねてしまいそうで、それを避けたいという意識がどこかにあるのでしょうね。

 

【再認識!】「独学にはやはり限界が」

 上のような反省は、添削を受けて初めて思いつくことなので、独学にはやはり限界があるという事実を思い知らされます。「添削」してくださる講師の先生には感謝です。

 また、こうした指摘を受ける前に、自分で気付けるようになることを目標にしなければならないのだなと、今日、あらためて気を引き締めたのでした。

また進展がありましたら報告しますね。

 

コーヒーブレイク ~ どこまでも「右上がり」に!

 「ローマの松」という曲をご存知でしょうか。イタリアの作曲家レスピーギという人が作曲した交響詩「ローマ3部作」(ローマの泉・ローマの松・ローマの祭)の一つです。

 ローマの4つの「松の名所」をそれぞれ音楽で表現したもので、その最後を飾るアッピア街道の松」が一番有名です。吹奏楽をやっていた方なら、自ら演奏したり、あるいはコンクールで他校の演奏を聴いたりしたことが一度はあるのではないかと思います。

 

 最弱音で始まり、徐々に楽器を加えて音量を増し、「これでもかこれでもか」と盛り上がっていって、圧倒的なクライマックスを作り上げていく。

 

 ラヴェルの「ボレロや、ブルックナーの「交響曲第9番第1楽章コーダ、ショスタコーヴィチ交響曲第7番レニングラード」第1楽章なんかもそうですが、私が大好きなパターンでして…。

 

「どこまでも右上がりに」

 

 人生、なかなかそんなふうには行きませんが、上がったり下がったりを繰り返しながらも、地道に努力していきたいと思っています。 

 

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【左利きの子に字を教える】気を付けたい7つのこと⑦

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○なんか使えなくたって 人生、なんにも困りません!

 こんにちは。「左手に美文字を」研究家のサトです。

 「左利きの子に字を教える時に気を付けたいこと」最終回です。

 

【目次】

 

 今回は、どうしても避けては通れない「」の話題です。本当のことを言うと、「筆」のことは話題にするどころか、思い出したくもありません。私にとって「筆」は、面白くない思い出がたくさんまとわりついた忌まわしい存在なのです。

 でも、左利きのお子さんを育てる親御さんにとっては、これからどうしても避けては通れない現実(小中学校の「書写」の授業)が待っているわけですから、勇気を振り絞って書かせていただきます。

 

書写:挫折感と屈辱の思い出

 小中学校では、「書写」の授業があります。

 まずは小学校。全員が習字のセットを購入させられ、いやおうなく筆を握らされることになります。初めての体験に、みんなワクワク。最初のうちはいいのです。左利きの子も楽しく筆で遊んでいればいい。そう、「遊び」のうちは楽しい。

 ところが、学年が進み、「『起筆』の形や『右払い』の形を整えましょう」という話になってくると、状況は一変します。左手では、どうやっても「起筆」も「右払い」もうまくいかないのです。

 左利きの人は筆を左側に傾けて書きますから、筆先が折れ曲がったような不自然な形で「起筆」に入るため、毛先がばらついてきれいに入ることができません。「終筆」も、不自然に折れ曲がった筆先が元に戻ろうとする力が最後に働いてしまうため、「ピンッ」とはねたような妙な形になってしまいます。

 私もそうでしたが、「みんな(右利きの子)が上手に書けるのに自分には書けないのは、努力が足りないからだ」と思って、何度も何度も書いてみるのですが、いくらやってもうまくいきませんでした。そうして、やがて左利きの子は「自分には書道の才能がないのかな」という悲しみと挫折感を味わわなければならないのです。

 そんな私が中学生になって最初の書写の授業の時でした。教室にやってきたのは厳しそうな教頭先生。書道の達人といううわさでした。私は、小学校時代と同様、さっそく左手で書き始めたのですが、「達人」先生は目ざとくそれを見つけ、こうのたまいました。

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達人先生「左手で書道はできない。右手で書きなさい。」

 

  「達人」先生から鋭い目でそう言われて、逆らえる子供がいるはずはありません。私ははじかれたように筆を右手に持ち替え、字とも模様とも言えないものを、時間が終わるまでずっと書き続けました。その時の気持ちをどう表現したら良いか、中学1年生の私にはよくわからなかったのですが、そのことがあって以来、何となく釈然としない思いがずっと私の心のどこかに巣くうようになったことだけは覚えています。後になって思い出すと、その気持ちは「屈辱感」というようなものだったのではないかと思います。

 

書写や書道を習えば、鉛筆やペンで書く字も上手になるのか?

 たしかに、書写・書道を習うと、字の形や全体としてのバランスについてのセンスは身につきます。ところが、「書道○段」という腕前の方がペン字でも美文字かというと、「必ずしもそうではないようだ」と思うのは私だけでしょうか。筆とペンでは、扱い方が異なるので、いくら筆の扱い方がうまい方でも、ペンの特性に応じた扱い方に慣れていないと、書道で身につけた技量が十分に生かせないのではないかと思っています。

 以上は「右利き」の方の場合です。では「左利き」の場合はどうでしょうか?

 小中学校の「書写」のところで書いたように、左利きの子は、「書写」(書道)を習うことで、達成感はおろか、「挫折感」と「屈辱感」を味わうことになります(本人はそのような表現ができなくても)。「自分には字の才能がないらしい」という意識を植え付けられたままの状態で、鉛筆やペンで書く字が上手になるものでしょうか。

 

左利きでも筆で上手に書ける「筆法」があるってホント?

 「左利きでも筆で上手に書く方法」なるものをネットで見かけることがあります。どんなものかというと、半紙を90度横向きにし、左ひじをぐっと前方にせり出した状態で筆を構え、右に90度傾いた字を書くというものです(要は、横向きの字を書くわけです)。そうすれば、筆を右利きの人と同じ方向に傾けて書くことができ、「起筆」も「右払い」も右利きの人と同様にきれいに書くことができるというわけです。

 発想としては、うなずけないこともありません。というか、「そうでもしないと左利きの人に筆は使えない」ことを世に知らしめるパフォーマンスとしては最高かもしれません。実際、この方法ならば「それなりの字」は書けるようになるでしょう。しかし、デメリットも多いため、私はあまりこの方法をお薦めしたくありません

 

メリット

1.「起筆」「右払い」が右利きの人と同じように書ける。

2.「それなりの字」までなら、書けるようになる。

 

デメリット

1.見た目に美しくない。

2.筆以外の筆記具への応用がきかない。

3.「正立」した字を美しく書くセンスが身につかない。

4.「それなりの字」以上に上達することは困難。

 

 小中学校の「書写」の授業は必修ですから、受けないわけにはいきません。また、「左利き用の特別な書き方」もお薦めではないとなれば、どうやって我が子をこの「挫折感」や「屈辱感」から守ってあげれば良いのでしょうか。

 

我が子に「挫折感」「屈辱感」を味わわせないために

 まず、左利きのお子さんには、「書写」という時間があること、そこでは筆を使うことになるけれど、文字が右利き用にできているため、左手ではどうやっても右利きの人と同じようには書けないということを、あらかじめ教えてあげてください。その際注意していただきたいのは、「左利きの人は、右利きの人に劣っている」というような印象を与えないように伝えるということです。「左利き」は誇るべき「個性」なのだと。右利きの個性に左利きの個性。個性と個性に優劣なんてなく、右利きが得意とする分野で活躍なんかしなくてもいいよってこと。

 

 さらに、先生によっては「右手で書きなさい」と指示する場合があることも、あらかじめ教えてあげておいてください。誰だって、何の前触れもなく、自分のやり方や信じていることを頭から否定されたら「屈辱」を感じるに決まっています。子供だって、口ではそう表現できなくても、心がちゃんと感じています。

 もう一つ、「右手で書きなさい」と言われた時にどうするかについても話し合っておいてください。つまり、「言われた通り右手で書く」のか、「あくまで左手で書く」ことを主張するのか決めておくということです。後者と決めるには、少し覚悟がいります。書写の授業が始まる前に、担任の先生に「うちはあくまで左手で書かせたい」ということを「親御さんが」はっきりと伝えてください。お子さんにつらい思いをさせたくなければ、ぜひ、そうしてあげてください(毅然と。でも、けんか腰ではなくですよ)。

 私自身は「どちらもありかな」とは思いつつも、本人が納得するなら、先生から言われる前に右手で書かせてみるのもいいかもしれないと思っています。右利き用に完成した文字を右利きの人がいかに快適に書いているか、体験しておくことは、その後の長い左利き人生を歩む中で貴重な経験になると思うからです。右利き用の文字を左手で書くことには多大な困難があることを十分に知り尽した上で、その困難に立ち向かうことが、かえっていい結果をもたらす可能性は大いにあると考えます。 

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こどもからの質問「筆が使えないと世の中生きていけないの?」

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サト「筆なんか使えなくたって、人生なんにも困りません!」

 …というわけで、「○」の答えは「筆」でした。

 

世の中で求められるのは「ペンできれいな字が書ける」こと

 筆を持つ機会なんて、学校の授業を除いたらまずありませんよね。それより、世の中で求められるのは、「ペンできれいな字が書ける」こと。学校の「書写」だけは一つの「お試し」体験学習と割り切ることにして、ペンによる「美文字」とはまったくの別問題なんだと、いい意味で開き直りましょう。

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貴重な時間と子供への愛情は、もっと大切なことに使いましょう。

【左利きの子に字を教える】気を付けたい7つのこと⑥

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電気スタンドは、○側に置きましょう。学校の○○は、「右利き仕様」にできていた!

 こんにちは。「左手に美文字を」研究家のサトです。

 「左利きの子に字を教える時に気を付けたいこと」第6回です。

 今回のテーマは「照明」。左利きのお子さんを持つ親御さんが案外忘れがちなこと、それが「照明の位置」です。

 

目次

  

「電気スタンドは左側に置くもの」と思いこんでいませんか?

 机で勉強や何かの作業をする際に使う「電気スタンド」を置く位置ですが、右利きの方は、「自分から見て左側に置くのが当然」と思っていることと思います。理由など考えたこともなく、最初からそういうものとして育ってこられたのではないでしょうか。

 でも、その位置のままで左利きの人が使ったらどうなるでしょう。試しに、右利きの方は、スタンドをいつもと反対の右側に置いてみると良いでしょう。書こうとしている文字のところが、自分の手で暗くなってしまうことがわかるでしょう。

 ですから、左利きの人の場合は、スタンドを右に置かなくてはなりません。大人が気付いてあげないと、左利きの子が特に幼い場合は、自分の手で暗くなってしまっても、それがスタンドの位置が悪いせいだとは思わず、「そういうものだ」と思ってしまうものです。

 私自身がそういう経験を持っているのです。小学校入学時に初めて買ってもらった学習机の前に座り、親の見守る中、自分の名前を書いた時だったと思います。スタンドの位置は左側にあり、私の手元は暗くなっていたはずです。でも私はあまり気にせず、作業に没頭していました。すると、母親が

「あら、これじゃ暗いわね。そうか、左利きだからスタンドは反対に置かなきゃいけないんだわ」と気付いてくれました。当事者である私自身、母親からそう言われて初めて、「へえー、そういうものなのか!」と感心してしまったことを覚えています。

 

「引き出しの位置」にも注意

 最近の学習机は、右利きの子でも左利きの子でも支障なく使える、いわばバリアフリーの配慮がされたものが多くなりました。たとえば、「引き出し」の位置。大人の事務机でもそうですが、普通は3段くらいの引き出しが右側についているのが普通ですよね。ですがこれは完全に「右利き仕様」。右手で引き出しを開け、ハサミやホチキスなどの文房具類を取り出し、そのまま右手で使うのに便利な位置にしてあるわけです。しかも、引き出しの上には大きなスペースがあり、右利きの人が何かの作業をするのに好都合です。

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図解:一般的な事務デスク(絵の才能なさ暴露)

 左利きの人の場合は、右手で引き出しを開け(まさか左手で開ける人はいないでしょう)、体をねじって左手でハサミやホチキスを取り出し(あるいは右手で取り出して左手に渡し)、戻すときにはこれとは逆の動作をしなければいけません。ま、慣れてしまえばたいしたことはありませんが、あまり効率の良い動作とはいえませんね。さらに引き出しの上のスペースの問題。書類入れや電話など、机の上に置いておきたいものは「右側」に置くことになります。これも不便。左側で何かの作業をしたくても、利き手のすぐ左側は「断崖絶壁」。そんな劣悪な環境(本人はそういうものと思ってあまり気にしていないでしょうけど)の中で、左利きのビジネスマンたちは日々頑張っているわけです。

 左利きのお子さんをお持ちの親御さんが、これから学習机を購入するのなら、引き出しの位置が左右どちらにも変えられるものにすると良いでしょう。両側に引き出しがついているという机もありますが、場所を取るので、そこまではしなくてもいいかと思います。すでに使っている机が右利き仕様のものなら、左側に、引き出し付きの小さなサイドテーブル(学習机と高さが同じもの)を置いてあげるなどの工夫をしてあげるといいでしょう。

 

「中央にスタンドがついた学習机」はどうか

 同じく、「右利き左利き兼用」の発想から、最近の学習机は中央部分に幅広の照明が標準装備されたものがほとんどのようです。たしかに、利き手の問題はそれで解消されたかに見えます。ただ、自分の真正面から照明が当たると、紙質によっては反射によって文字が見えづらくなることがあるので注意が必要です。特に最近の教科書はビジュアルさを重視した構成になっているものが多く、正面から光が当たると非常に見づらい場合があります。中央についていても、光の当たる角度を左右に動かせるタイプのものを選ぶか、最初から「完全左利き仕様」の学習机にするというのもいいかもしれません。

 

学校での照明環境はどうなっているか

学校の教室は、そもそも「右利き仕様」

 学校の教室を思い出してください。正面に黒板があります。では、質問です。 

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質問1 「廊下」と「外に面した窓」は、それぞれ左右どちらにありましたか?

  「そんなの、学校によって違うだろ?」って? いえいえ、よほど特殊な場所に建てられた学校でもない限り、どこでも同じだったと思いますよ。

 正解は、「廊下」は「右側」、「外に面した窓」は「左側」です。学園ドラマでもみんなそうなっていますよ。思い出しましたか? では、なぜ、ほぼすべての学校がこのように教室を配置しているのか。「右利き仕様」だからです。では、次の質問。

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質問2 「外に面した窓」の方角は? 1.東  2.西  3.南  4.北

 これも「学校による」と答えますか? いえいえ、これもよほど特殊な事情がない限り、どこも同じだったと思います。

 正解は、「南側」。理由はすぐわかりますね。「日当たりが良く、教室が明るくなるから」。

 この二つの質問でわかりましたね? 教室のどこが「右利き仕様」なのか。先ほどのスタンドの位置と同じで、右利きの子供たちにとっては、左側にある窓から太陽の光がさんさんと当たってくれた方が好都合なわけです。逆に言えば、左利きの子供たちはその恩恵にあずかれない状態にあるわけです。

 ただ、教室の天井には照明がありますし、教室全体が十分に明るい場合には、照明がついていなくても、左利きの子供たちもさほど手元が暗くて不便ということはないでしょうから、あまり目くじらを立てなくてもいいのかな、とは思います。左利き仕様にしたらしたで、右利きの子はどうなる?という話になるわけですし。

 

「授業参観日」に確認してみよう

 授業参観で学校を訪れることがありましたら、お子さんの様子だけでなく、ぜひ、「照明環境」がどうなっているかを確かめてみてください。我が子がノートやプリントをのぞき込むように見ていたり、不自然に体をねじって作業をしたりしていたら、もしかすると「照明環境」が良くないためかもしれません。その場合、学校の先生もそのことに気づいていないわけですから、改善について相談してみると良いでしょう。

 たとえば、「外からの光がやや弱い場合には、左利きの子供の様子を基準にして、照明をつけるかどうか判断してもらう」などというふうに。

 ついでに、我が子以外の「左利きの子」をチェックしておきましょう。きっとクラスに2~3人はいるのではないでしょうか? できたら、その親御さんと仲良くなっておくと、何かと情報交換ができてお互いに助かることも多いですよ。

 

【まとめ】

☑1.左利きの場合、電気スタンドは「右側」に置く。

☑2.右側に引き出しがある机は「右利き仕様」。工夫して「左利き仕様」に

☑3.学校の教室は「右利き仕様」。見えづらいなら我慢せず、先生に相談

☑4.左利きの子を持つ親同士で情報交換しよう。

【左利きの子に字を教える】気を付けたい7つのこと⑤

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「左利きは数字に強い?!」右利きの人がうらやむくらい美しい数字が書けるようにしてあげましょう。

 こんにちは。「左手に美文字を」研究家のサトです。

 「左利きの子に字を教える時に気を付けたいこと」今日は第5回です。

 今日のテーマは「数字」です。漢数字「一、二、三…」じゃありませんよ。算用数字(アラビア数字)「1、2、3…」です。

 

目次

 

 

右利きの人がうらやむくらい、美しい数字が書けるようにしてあげましょう。

 

 子供に初めて字を教える時、あなたなら何から教えますか?

 普通は「ひらがな」から教えますよね。「小学校に上がる前に「ひらがな」だけは全部書けるようにしておかなきゃ」と、必死に頑張るお父さん、お母さんの姿が目に浮かびます。ちなみに、うちの娘が小学校に入学した時は、「自分の名前がなんとか書ける」くらいでした。

 「ひらがな」から教えるのも良いのですが、あなたのお子さんがもしも「左利き」なら、ぜひ早い段階で「数字」も教えてあげてください

 

左利きの子供がやがてぶち当たる壁

 「ひらがな」が書けるようになれば、自分が伝えたいことを文字で表現して人に伝えることができますから、子供の世界が格段に広がります。サンタさんにお手紙を書くことだってできます。(→【きれいな字が書きたい!】やる気を支える10の名言⑦

 ですが、「美しく書く」という次元の話になると、「ひらがな」ほど難しいものはありません。特に左利きのお子さんは、中学生か高校生くらいになると、「左利き特有の困難」を思い知ることになります。

 「ペンを使う機会」が増えたり、「人並み以上のきれいな字が書きたい」と強く願うようになった時、左利きのお子さんが必ずぶち当たる壁です。

 「自分は左利きだから他の人みたいにきれいに書けないのかな。どんなに努力しても上手になれないのかな」と悩む時が来ます。

 その時に備えて、絶対的に自信のある字を身につけさせておくことをお勧めしたいのです。そこで登場するのが「数字」です。

 

「数字」は、実は左利きにとってとても書きやすい字

 数字は、実は左利きの人にとって「美しく書く」ことが容易な文字なのです。その理由は、【左利きの悩み解消⑥】左利きこそきれいな数字が書ける理由に書いておきましたので、ご参照ください。

 文字について悩み、自信がなくなりそうになった時、支えになるのが「自信のある字がある」ということ。文字に関する壁にぶち当たる前に、「右利きの人がうらやむくらい美しい数字が書ける」ようにしてあげてください。そうすればお子さんは、「これだけは絶対負けない!」と自信を持つことができるのです。

 

得意な字があれば、他の字もうまくなる

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得意な字があれば、他の字もうまくなる。

 文字に限らず、人は何か得意なものを持っていると、一見そのこととは無関係な場面で思わぬ活躍をすることがあるものです。身につけた知識や技術が、深い所で一見関係のない分野と結びついているからなのでしょう。

 文字でも同じことが言えます。美しい文字を書くためには、「無駄な力を入れない」ことが絶対に必要なのですが、苦手な文字ほど余計な力が入ってしまいがちで、そうなるといくら頑張って練習しても上達は見込めません。逆上がりの苦手な子が、何とか成功させようと両手をいっぱいに伸ばして力尽きるまでチャレンジしているようなものですね(私がそうでした)。

 このように無駄な力が入って筆圧が強くなりすぎると、表情のある美しい文字は決して書けるようにはなりません。無駄な力を入れずに書く方法については、【左利きの悩み解消①】左手できれいな横線を書くための5つのポイントをご参照ください。 

  でも、「苦手なこと」を克服するって、とてもしんどいことですよね。わかっていても、無意識のうちに無駄な力が入ってしまったりして…。

 だから私は、「苦手なことを何とかしょう」とあがくより、「得意なことを広げて行く」という発想を持つことをお勧めします。

 人は、「得意なこと」なら余計な力を入れずに自然体でやることができます。絶対的な自信を持てるほど「数字」が得意になっていれば、「無駄な力を入れずに書く」ことを体が覚えているはずです。

 

 繰り返します。「右利きの人がうらやむくらい美しい数字」が書けるようにしてあげてください。そうすれば、いずれ「ひらがな」だって、「漢字」だって、「あなた、ホントに左利きなの?」と周囲の人が驚嘆するくらい美しい文字が書けるようになりますよ。

 

コーヒーブレイク 「数学市場史上最も美しい数式」の話  

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博士の愛した数式小川洋子)という小説をご存知でしょうか。

 80分しか記憶がもたない数学者(博士)、家政婦(私)と10歳の息子の3人の、一風変わった、しかし心温まる交流を描いた小説です。映画にもなりましたね。

 その中にこんな一節があります。

 

「どこにも円は登場しないのに、予期せぬ宙からπがeの元に舞い下り、恥ずかしがり屋のiと握手をする。彼らは身を寄せ合い、じっと息をひそめているのだが、一人の人間が1つだけ足し算をした途端、何の前触れもなく世界が転換する。すべてが0に抱き留められる」

 

 これだけ読んだら「何のことやら?」ですが、家政婦の「私」が博士から渡された「オイラーの公式」のメモのことを言っているのです。

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オイラーの公式「数学史上最も美しい」

 この「オイラーの公式」は、「数学史上最も美しい数式」と言われています。私のようなずぶの素人でも、「円周率:π」と「虚数:i」くらいはわかります。じゃあ、「e」って何だぁ?(…「自然対数の底ネイピア数」だそうです)

 ま、いずれにしましても、「互いに全く異なるもの同士が集まっている」らしいってことだけはわかります。

「全然違う3つのモノ」を集めてみました。どうやっても混ざり合いっこありません。でも、「1」を足してみたら、あら不思議、「0」になっちゃった!

それが「美しい!」と評されるゆえんなのでしょう。

「博士と家政婦と息子の3人」が、「数式」や「プロ野球」を通じて「心を通わせて一つになる」という物語の展開そのものですね。

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あなたのご家族も、この公式のように「数字の練習」を通じて一つになれますように。サト

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【左利きの子に字を教える】気を付けたい7つのこと④

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「左利き・右利き兼用グッズ」をそろえましょう ~「家庭内バリアフリー」のススメ~

 こんにちは。「左手に美文字を」研究家のサトです。

 「左利きの子に字を教える時に気を付けたいこと」今日は第4回です。

目次

  

 左利きの子供は、「右利き社会」の中でさまざまな「障壁」(バリア)に直面しながら、これを忍耐と知恵と工夫で乗り越えながらたくましく生活しています。その中で、たいていのことは「そういうもの」として順応してしまっているので、親でさえ子供が日々直面している「障壁」には気が付かないことが多いのです。

 

親でさえ気づきにくい【障壁】の例

1.左手では不便なので、右手でやっていること

・トイレの水を流す。

・自販機にお金を入れる。

・カメラのシャッターを押す。

・エレベーターのボタンを押す。

・駅の改札でICカードをかざす。

・パソコンのマウスを操作する。

 

2.工夫したり我慢したりしながら、左手でやっていること

文字を書く(文字は右利き仕様でできています)

・右利き用の野球のグローブを無理やり反対の手にはめて使う。(自分のがない場合)

・右利き用のハサミを使う。(右利きの人の指にフィットするように持ち手に傾斜がついたハサミは、左利きの人が使うと当たって痛い。でもそういうものだと思って我慢する)

 

左利きにも「バリアフリー」を!

 バリアフリーというと、多くの方は「車椅子の方やお年寄りでも移動しやすい、凸凹の少ない環境」をイメージされるのではないかと思います。

 

バリアフリー」の一般的イメージ

1.対象は、「障害者」・「高齢者」である。

2.目的は、生活の支障となる「物理的な障壁」を取り除くことである。

 

 しかし、これだけでは十分な「バリアフリー」とは言えません。たとえば1の「対象」ですが、一時的に松葉杖を使っている人や妊婦さんなどはどうでしょう。この方たちだって、障害者や高齢者同様、さまざまな場面で「障壁」に直面するでしょう。「障壁」に直面しているという点から言えば、左利きだって例外ではないと思いませんか? でも、世間では「左利きの人にもバリアフリーを」という声はあまり耳にしませんね。何しろ、左利きの子を持つ親でさえ、子供が直面している「障壁」に気づくのが難しいのですから。

 世の中が左利きの人に対しても「バリアフリー」化してくれるのが理想ですが、ことはそう簡単には進みそうもありません。ですから、せめて家庭内では左利きでも右利きでも関係なく快適に過ごせる環境を子供に提供してあげたいものです。

*具体的にはこの記事の最後の方で触れます。

 

「精神的障壁」こそ【クセモノ】だ

 2の「目的」についても、「物理的障壁」の除去だけでは不十分です。「精神的障壁」を取り除くことも同じくらい、いやそれ以上に大切なことなのです。せっかく物理的障壁が取り除かれても、世間の「偏見」や「差別」や「無理解」という障壁がそのままなら、平気で点字ブロックの上に駐輪・駐車したりする人が後を絶たない現実は変わらないのです。

 左利きの人に対する「精神的障壁」は、物理的障壁以上に世の中で意識されづらいものと言えます。そういうものの存在自体、右利きの人には想像さえできないのではないでしょうか。まあ、左利きの人でも普段は気にせずに生活しているのですが、時々、「言われたくない一言」を右利きの方から言われて傷ついたり困惑したりする場面に直面することがあります。

 「言われたくない一言」の代表的なものが、「(左利きを)直されなかったの?」です。この言葉には、

 

「左利きは『直す』べき良くないものである」

「良くないものを直すのは、親として当然の責務である」

「左利きになったのは、親のしつけがなっていない証拠である」

 

そんな意識が見え隠れしています。中にはこれを全部言葉にする方もいます。悪いことに、こうした言葉は、大人より子供の方が浴びせられることが多いものです。相手が子供の方が言いやすいですからね。

 右利きの人としては、特に悪気もなく、むしろ親切心から軽い気持ちで言っているのかもしれませんが、左利きの子供がこうした言葉でどれほど傷ついているか、少しでも理解していただけたらと思います。

 子供にしてみれば、自分のことだけ悪く言われるのならまだしも、親のことまで、いわれのない悪口を聞かされるに等しいわけですから、たまったものではありません。子供は嫌な気分を家庭でも広げたくありませんから、そういうことを親に報告したりは普通しません。言ったところで解決するものでもないし、優しい子ほど、親を非難するような言葉を口にしたくはないのです。

 かくして、左利きのお子さんが直面する「精神的障壁」は、「物理的障壁」以上に親御さんには気づかれにくいということになります。

 左利きのお子さんを持つ親御さんは、我が子が世間でそうした「障壁」にさらされ、ひそかに傷ついたり困惑したりしていることを熟知しておく必要があります

 なお、こうした心ない一言への効果的な対処法については、【左利きの悩み解消③】「左利きが言われたくない一言」への対処法 をご覧ください。

 

まずは家庭で実践!【左利き向け「バリアフリー」】

 と言っても、そう難しく考えることはありません。「利き手がどちらでも使いやすいもの」を家族で共有することから始めましょう。何でもかんでも「左利き仕様」にしようとする必要はありませんし、むしろそんなことはやめた方が良いのです。

 

「何でもかんでも左利き仕様に」が良くない2つの理由

1.右利きの家族にとっての「障壁」となってしまう。

 あまりにも「左利き仕様」にこだわりすぎると、今度は反対に、右利きの人が過ごしにくい環境になってしまいます。それでは元も子もありません。

 

2.右利き社会への順応能力が身につかない。

 社会に出れば、右利き仕様の物やシステムにどうしても順応しながら生きていかなくてはなりません。あまりにも「左利き仕様」に慣れ過ぎてしますと、そうしたものへの順応能力が育ちにくくなってしまいます。

 

「左利き用グッズ」を右利きの人も買う社会が理想?!

 「左利き用」の道具は私が子供だったころから比べれば、羨ましいくらいに豊富に出回る時代になりました。「左利き用ハサミ」に「左利き用ものさし」、「左利き用急須」まであります。世の中、ずいぶん親切になったものです。

 しかし! しかしですよ、こうした左利き用グッズの購入者というのは決まって左利きの人であり、それぞれ自分が使う目的で買うわけですよね。「そんなの当たり前だろ?」と思うでしょう? その考え自体が「精神的障壁」なのです。

 どういうことかというと、左利き用グッズは確かに便利だし、「バリアフリー」にも貢献してくれます。左利き用グッズがもたらしてくれる「バリアフリー」は、「左利きの人の手元にある」場合にだけ実現します。ところが、「ハサミ」にしても「ものさし」にしても、いつでも持って歩いているとは限りません。まして急須となると…。

 そうなると、家では使いやすい「左利き用グッズ」を使い、外では「右利き用」を使うという二重生活を余儀なくされることになります。

 社会全体が、左利きの人にも本当の意味で「バリアフリー」であるようにするためには、「左利き用グッズ」をあらゆる所に、当たり前に置くようにしなければならないでしょう。学校、職場、役所等の待合室、そういった所に行くと、必ず「左利き用グッズ」が置いてあるのが当たり前の社会。「左利き用グッズ」を標準装備するため、右利きの人が率先して購入する社会こそが理想なのです。

 「『左利きグッズ』は左利きの人が買うものに決まってるだろ?」という発想自体が「精神的障壁」なのだと先ほど書いたのは、そうした意味合いからなのです。

 

家庭では、左利き右利き兼用のグッズをそろえる

 私自身は「左利き用グッズ」をほとんど利用していません。それは、私が子供のころはそうしたものがなかったため、右利き用の道具を使いこなすことに慣れているからというのが一番の理由ですが、「左利き用グッズ」に慣れきってしまうことへの警戒感が拭い去れないことも、利用をためらう理由となっています。世の中はまだまだ右利き中心社会ですからね。

 そこで私が家庭での導入をお薦めするのが、「左利き右利き兼用グッズ」です。私自身、重宝している「左利き右利き兼用グッズ」をご紹介しましょう。

 

おすすめの「左利き右利き兼用グッズ」

 まずは本ブログ最大の関心事、ペンです。左利きの人にとって、どのペンを使うかは大問題です。ペンによっては、左手で書くと、かすれたりインクが全く出なくなってしまったりするものがあったり、とても書きづらいものも少なくないからです。

 逆に言うと、「左利きの人が使いやすいペンは、右利きの人にも使いやすい」ですので、ご家庭ではぜひ、みんながそうしたペンを使うようにしていただければと思います。

 私がお薦めするのは、ゼブラの「サラサ」と、

 

 サクラクレパスの「ピグマ」

です。理由については、「サラサ」なら左利きが【美文字】を書くためのペン選び、「ピグマ」なら【左利きの悩み解消⑤】左利きがストレスなく書ける「ペン」をお読みください。

 

 次に「アイロン」です。

「アイロンなんて、右利きも左利きもないだろ?」と右利きの方ならお思いでしょう? ところがどっこい、多くのアイロンには、左利きにとってとても使いづらい欠点があるのです。それは、適温を示すランプの位置です。

 ご承知の通り、アイロンには、適温になると消灯し、安全装置によって温度が低くなると点灯するランプがついています。その位置が問題なのです。多くのアイロンでは、このランプが「左側」についています。左手に持ってみるとわかるのですが、ランプを確認するには、アイロンの裏側を見なければならず、とても不便なのです。

 しかし、私の愛用しているパナソニック スチームアイロンは、ランプが中央にあり、右手で持っても左手でも持っても見えるのです。これぞ、左利き右利き兼用の「バリアフリー」設計と言えます。

 

  それから「急須」。「左利き用」として、持ち手が通常と反対側についたものはお薦めしません。右利きの人が使えないからです。

 利き手に関係なく使える急須は、

「注ぎ口が両側についている」ものと、

「持ち手が中央についている」ものがあります。

 

  好みにもよりますが、両側についているものは、収納や洗う時のことを考えるとあまりお薦めではないような気もします。

 

【まとめ】

☑1.子供が直面している「障壁」に気づいてあげよう。

☑2.家庭では「左利き右利き兼用」のものをみんなで使おう。